「グラフ校正の注意点」
今回は「グラフを校正する際の注意点」についてお伝えします。
数値等の客観的データを視覚的に伝えることができるのが「グラフ」ですが、作成するうえでミスが発生しやすいものでもあります。
校正者も作業中にグラフが出てきたら一度身構えるくらい要注意ポイントとなります。
では、グラフ校正の際はどのような点に注意すればよいのでしょうか。
見るべき点は多岐にわたりますが、特に重要な例を挙げながら説明していきます。
1.数値に対して高さ・比率があっているか
棒グラフ・円グラフなど、グラフには様々な種類がありますが、総じて、「数値に対して、グラフの高さや比率があっているか」は確認すべきポイントとなります。
例えば、下の円グラフでは「歩き」は「50%」と記載があるにもかかわらず、円の半分を満たしていませんので、グラフもしくは数値が誤っていることになります。
上記の例は円グラフですが、他の形式のグラフでも同様に注意が必要です。
棒グラフや折れ線グラフを校正する際は、縦軸の数値にあわせて定規で補助線を引くなどして、数値に対して高さがあっているかを確認する必要があります。
2.単位の抜けがないか
例えば、棒グラフのように縦軸・横軸がある場合、それぞれの単位が抜けてしまうと、読者にとって正確な読み取りが難しくなってしまいます。
上記グラフは、縦軸の単位の記載がないため、「%」なのか「人」なのかはっきりしません。
グラフで示す情報を明確にするために、必ず単位の記載があるかを確認しましょう。
統合報告書などIR関連の媒体では、金額に対して(百万円)や(億円)という単位が抜けてしまうことも起こりがちです。
3.凡例は正しいものが入っているか
意外と見落としがちなのが、「凡例」です。
「この色の線や帯は何を表しているのか」を示すのが「凡例」で、特に折れ線グラフ・棒グラフなどで必要になってきます。
以下の例は、ある会社の各部門の売り上げを折れ線グラフで表現しようとしています。
しかし凡例が抜けていることにより、どの線がどの部門を表しているかが分からず、情報が全く読み取れなくなっています。
上記グラフのように特に情報が複数ある場合は、どの線や帯が何を表しているか、凡例などを用いて明確になっているかを必ず確認します。
また、凡例が入っていたとしても、それが間違っている場合もあります。
下の例は、上部分にある表をもとに作った折れ線グラフですが、表と整合性が取れていないことが分かりますでしょうか。
表では、A部門は2019年に90万円とあるのに対し、グラフでは85万円になっています。
B部門のグラフでは2019年は90万円、2020年も横ばいの90万円…と続くことから、表と照らしあわせていくと、「正しくは、青の折れ線はB部門のもの、オレンジの折れ線はA部門のものである」ということがわかります。(もしくは折れ線グラフが正で、表が誤り)
このように、凡例が入れ替わってしまうこともあります。注意して見るようにしましょう。
4.グラフと本文があっているか
最後に、グラフだけではなく、本文とも整合性が取れているかの確認をします。
グラフ内でつじつまが合っていても、「本文と数値が異なる」「主張している事柄とグラフの内容が一致していない」となると、どちらの情報が正しいか分からなくなってしまいます。
下記がグラフと本文の例ですが、どこがおかしいか分かりますでしょうか。
本文2行目では「B部門・C部門では共に2021年度に売り上げを落としながらも」とありますが、C部門で売り上げを落としているのは2020年度であり、本文と齟齬が生じています。
このように、グラフとそれに言及している文章がある場合は、整合性が取れているかも確認する必要があります。グラフだけではなく、その周囲も気を付けて確認しましょう。
いかがでしたでしょうか。
掘り下げればまだまだ注意点は多いですが、特に気を付けるべきポイントを紹介させていただきました。
グラフを使うときは、視覚的に伝えやすいというメリットがあるものの、その反面注意すべき点は多いので、慎重な校正は欠かせません。