「指摘の書き方」
校正・校閲において、あまり意識はされていないものの意外と重要なのが「指摘の書き方」です。せっかく指摘したのに、意図したことが相手に伝わらなければ大きな問題につながってしまいます。
例えば、誤解を与えないよう、紛らわしい字(0(ゼロ)とO(オー)、1(イチ)とI(アイ)など)は注意して違いがはっきりと伝わるように書く必要があります。
しっかりと確認してもらえるように、2Bぐらいの濃さで書き、引き出し線を使って余白へ導いて、大きめに楷書体を旨として書き込むように心がけましょう。
大きなトラブルを防ぐためにも数字については丁寧に指摘して確認してもらわなければなりません。
手書きの数字は見間違いがよく起きてしまうものでもあります。
「6」と「8」、「1」と「7」など形が似たものははっきりと区別して書きましょう。手書きの字が乱雑で「1」と書いたつもりが「7」に見えてしまい、そのままオペレーターが見間違えて修正すれば事故につながります。
見直す際には数字が誤認されそうにないか確認してみてください。
さて、指摘自体はあっているのに、引き出し線が長くて交差したり、指摘範囲が不明瞭だったりすると、オペレーターさんが間違った箇所を修正してしまうというおそれもあります。
入れ替えの指示やアケル指示など校正記号だけで引き出しを行わないと、そもそも気づいてもらえないかもしれません。
その他、指摘が指示原稿との齟齬もしくは常識から来ている場合、その前提を説明しないと、どういう間違いを指摘しているのかがわからず、編集者や先方が判断を間違えてしまうかもしれません。
疑問出しの根拠として、どの指示原稿とどう違うのか、整合するべき他の文章とどう違うのか、そういったことを説明して、わかりやすくなるように心がけましょう。
指摘の書き込みには簡潔さを求められますが、確認する編集者が誤認しないようにするため、どのような対策が必要でしょうか。
簡単にいくつかポイントをご紹介いたします。
一つ目に挙げられるのが「修正例を具体的に書く」です。
結論としてどう直すと問題が解決されるのか、修正例が示せる場合は提案できると良いでしょう。
続いて二つ目は「根拠となる原稿名を添え書きする」です。
赤字指示を見たのか、元原稿との齟齬なのか、これが伝わるだけでも確認する編集者さんの一助になります。
PC校閲でウェブサイトを見た場合などは資料を添付する、または出典サイトを添え書きしてあげてください。
指摘は編集者・オペレーターに伝わって意味を成します。
わかりやすく、誤認されないように注意を払いましょう。