「見出しにご用心」
校正・校閲を行う上で気を付けるべき点は何かと言われたとき、どういったことをイメージしますでしょうか。
世間一般からすると、注意が疎かになりそうな細かな内容こそ気を付けるべきとお考えになるかもしれません。もちろん全部気を付けるべきではあるのですが、意外とミスが発生しがちなのが「見出し」です。
よく見ればすぐに分かりそうな誤字脱字が、見出しにうっかり紛れているということは意外にも起こりがちなのです。多くの人が目を通しているから大丈夫だろうという心理面も多少なりともあるかもしれません。ですが、もしそのまま印刷されてしまえば、見出しゆえに余計ミスが目立ってしまうので何としても避けたいところです。
そもそも見出しは「本文の内容を簡潔に伝える」役割があります。そのため、当たり前ですが、内容的に本文に準拠していなければなりません。
見出しのもう一つの役割に「読む意欲をひきだす」という面もありますが、これを重視しすぎて本文の内容と食い違いが発生してしまうおそれもあります。
【例】
見出し:「高齢者の人口が全体の3割を超える」
本文:日本の65歳以上の高齢者の人口3640万人となり、総人口に占める割合は29.1%となりました。
※実際は「29.1%」なので3割に達していません
また、制作の途中で本文の内容を修正したが、見出しの方は修正し忘れたということも起こりえます。特に数値関連は注意が必要です。
見出しと本文の整合性をチェックするために、本文を見直した後に改めて見出しを見直すということが肝心です。
読む順番として、通常「見出し→本文」の順に目を通すと思いますが、「見出し→本文→見出し」と改めて見出しに立ち返ることで内容の整合性も確認でき、単純なミスもそこで拾うことが可能です。